桜の花の浮かぶ水槽で
鯖も泳いでます
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心に宿る命を喰らう
「あなたは、金蔵と肉体関係を持ち、右代宮家への復讐のため……」
「そんな事実ありません!」
「あなたは蔵臼を愛してなんかいなかった!
」
「なッ……私はあの人を愛していました!!」
「どうやってそれを証明するんですか?」
たった一人でも、信じてくれたのなら。世界はまた違った動きを見せたかもしれない。
――私は、あの人を、愛していました……! 信じて、誰か信じて!
『夏妃』
台湾旅行。帰り道。照れたように笑うあなたの顔が、今さら思い浮かぶ。否、こんなときだからこそ。
また現実逃避?
少女の薄ら笑いに、幻聴が耳をくすぐる。
――信じて下さい。私は愛しています! ああでも、あの人は殺さ、殺され……!
『息を吹き掛けましょう。目を醒ますかもしれない。だからそれまでは、現実を認めてはいけません。蔵臼は生きていると、そなたが信じなさい』
――ベアトリーチェ? あなたは、ヱリカに消されたはずじゃ?
『妾は駒の妾ではない。……妾も、もう生きてはいれないけれど。……妾はもう、戦人が生きていることを信じられないから。』
――?
わかっていた。ベアトリーチェは喋っていない。けれど、そう聞こえたのだ。
暴かれないように、隠し続けた意図。
――ええ。本当は確かに、この世界が憎かったのです。心の奥のこの闇を、本当は誰かに気付いてほしくて。……ほしくて。
ベアトリーチェが、甥の服の裾を掴んで靜かに泣いていた。
そして、私の中に彼女の声が届かなくなると、……麟紛を纏う、弱き蝶へと変わり果てた。
――あなたは、信じられなかったのですね。
そして私に、信じろと。そうなのですね。六軒島の魔女。
ここが私の生きる場所だと、胸に言い聞かせたけれど。解き放たれることを、夢見る私がいたことは、……もう過去の話。だから繰り返さないで…。
「繰り返します。あなたは右代宮家を憎んでいた!!」
「あぁぁぁああ……!」
信じます。信じますからベアトリーチェ。
あなたがジュリエットであったことを、私は間近で見たのだから。
(私の愛しい人も蘇らせて)
お題元
BITDRESS様
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