忍者ブログ

桜の花の浮かぶ水槽で

鯖も泳いでます

[7]  [6]  [5]  [4]  [3]  [2]  [1

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

心に宿る命を喰らう


「あなたは、金蔵と肉体関係を持ち、右代宮家への復讐のため……」
「そんな事実ありません!」
「あなたは蔵臼を愛してなんかいなかった!

「なッ……私はあの人を愛していました!!」
「どうやってそれを証明するんですか?」

たった一人でも、信じてくれたのなら。世界はまた違った動きを見せたかもしれない。
――私は、あの人を、愛していました……! 信じて、誰か信じて!

 


『夏妃』

台湾旅行。帰り道。照れたように笑うあなたの顔が、今さら思い浮かぶ。否、こんなときだからこそ。

また現実逃避?
少女の薄ら笑いに、幻聴が耳をくすぐる。
――信じて下さい。私は愛しています! ああでも、あの人は殺さ、殺され……!

『息を吹き掛けましょう。目を醒ますかもしれない。だからそれまでは、現実を認めてはいけません。蔵臼は生きていると、そなたが信じなさい』

――ベアトリーチェ? あなたは、ヱリカに消されたはずじゃ?

『妾は駒の妾ではない。……妾も、もう生きてはいれないけれど。……妾はもう、戦人が生きていることを信じられないから。』

――?
わかっていた。ベアトリーチェは喋っていない。けれど、そう聞こえたのだ。

暴かれないように、隠し続けた意図。
――ええ。本当は確かに、この世界が憎かったのです。心の奥のこの闇を、本当は誰かに気付いてほしくて。……ほしくて。

ベアトリーチェが、甥の服の裾を掴んで靜かに泣いていた。
そして、私の中に彼女の声が届かなくなると、……麟紛を纏う、弱き蝶へと変わり果てた。
――あなたは、信じられなかったのですね。
そして私に、信じろと。そうなのですね。六軒島の魔女。

ここが私の生きる場所だと、胸に言い聞かせたけれど。解き放たれることを、夢見る私がいたことは、……もう過去の話。だから繰り返さないで…。

「繰り返します。あなたは右代宮家を憎んでいた!!」
「あぁぁぁああ……!」 

信じます。信じますからベアトリーチェ。





あなたがジュリエットであったことを、私は間近で見たのだから。

(私の愛しい人も蘇らせて)

 

お題元
BITDRESS
 

拍手

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

この記事へのトラックバック

この記事にトラックバックする:

ただ寄り添って HOME 言葉で五つのお題・童話編

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新コメント

最新トラックバック

プロフィール

HN:
椎名桜花
性別:
女性
職業:
趣味:
自己紹介:
鯖吉愛してる

バーコード

ブログ内検索

カウンター


忍者ブログ [PR]
template by repe