桜の花の浮かぶ水槽で

これがないと絵羽日記のエピソード入れた意味が下がるのにｗ
今更ですが前提は　まほーえんど です。

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助手席に乗り込もうとドアに手をかける。
彼女の身体が入るくらいに開く直前に、小此木が思い出したように自らの懐を漁る。
とてもわざとらしい。
小此木は縁寿に、ひょいと手渡す。
それは、大きさの割にずっしりと重い。

「ああそうだ、縁寿ちゃん、今日あんたにこれが届いてた。冥土の土産とでも思って持ってきな」
「冥土の土産とは随分ね。どうせ怪しい物なんでしょ。何これ、鍵？」

中を覗いた縁寿が眉を寄せると、小此木がふっと笑う。

「真実の扉を開く鍵。だったりしてな」
「面白い解釈ね。そのジョークに免じて貰っといてあげる」
「真実に興味はなくなったのかい？」
「ふふ、仮に知ったとしても、どうせ私の真実は変わらないのよ。融通の効かない女でごめんなさい？」

ひらりと手のひらを返す。
半開きのドアを開け直して乗り込むと、隣の男がにやりとウインクをする。

「それはそれで、いい女だと思いますぜ？」
「五月蝿いわね、運転手」
「ひゃっは！」

さらに馬鹿な事を繰り返す天草に適宜ツッコミを入れながら、見慣れた景色を少し振り返る。

（シーユーアゲイン、ハバナイスディ）

２人を乗せた車は、雑踏の中に消えていった。




End

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January.19.2011